未払い金回収の法的手続き|支払督促・少額訴訟・通常訴訟の違いと選び方
こんな状況ではありませんか?
- 内容証明を送っても無視される
- 3回以上催促したが、一切反応がない
- 「払わない」と明言された
- もう自分では限界だと感じている
この記事では、法的手続きに進むべきタイミングと、3つの手続き(支払督促・少額訴訟・通常訴訟)の違いを解説します。
法的手続きに進むべきタイミング
以下のいずれかに当てはまる場合、法的手続きを検討すべきです。
チェックリスト
- ☑ 内容証明を送っても反応がない
- ☑ 3回以上の催促メールを完全に無視されている
- ☑ 支払期日から2ヶ月以上経過している
- ☑ 相手が「払わない」と明言している
- ☑ 未払い金額が10万円以上ある
2つ以上当てはまる場合は、法的手続きを検討しましょう。
法的手続きの3つの選択肢
法的手続きには、大きく分けて以下の3つがあります。
| 手続き | 金額制限 | 費用 | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 支払督促 | なし | 数千円〜 | 1〜2ヶ月 | 書面のみで完結(相手が異議を出すと訴訟に移行) |
| 少額訴訟 | 60万円以下 | 1〜3万円 | 1日 | 1回の審理で判決(簡易・迅速) |
| 通常訴訟 | なし | 数十万円〜 | 6ヶ月〜 | 正式な裁判(時間と費用がかかる) |
1. 支払督促(しはらいとくそく)
支払督促とは?
裁判を開かずに、裁判所が相手に支払いを命じる手続きです。
メリット
- ✅ 費用が安い(数千円〜)
- ✅ 書面のみで完結(裁判所に出廷不要)
- ✅ 手続きが簡単(弁護士なしでも可能)
- ✅ 金額制限がない
デメリット
- ❌ 相手が異議を申し立てると、通常訴訟に移行
- ❌ 相手の住所が分からないと使えない
- ❌ 相手が無視すると、強制執行が必要
費用
- 申立手数料: 数千円(請求額による)
- 郵送費: 数百円
- 弁護士費用: 不要(自分で手続き可能)
手続きの流れ
- 簡易裁判所に「支払督促申立書」を提出
- 裁判所が相手に「支払督促」を送付
- 相手が2週間以内に異議を申し立てなければ、「仮執行宣言」を申請
- 仮執行宣言が確定すれば、強制執行可能
こんな人におすすめ
- 証拠がしっかりしている(請求書、契約書がある)
- 相手の住所が分かっている
- まずは低コストで試したい
2. 少額訴訟
少額訴訟とは?
60万円以下の金銭請求に限定した、簡易的な裁判です。
メリット
- ✅ 原則1回の審理で判決が出る(即日判決)
- ✅ 手続きが簡単(弁護士なしでも可能)
- ✅ 費用が安い(1〜3万円程度)
- ✅ 分割払いの和解も可能
デメリット
- ❌ 請求額が60万円以下に限定
- ❌ 年間10回までしか利用できない
- ❌ 相手が「通常訴訟に移行したい」と言うと、通常訴訟になる
費用
- 申立手数料: 1〜3万円(請求額による)
- 郵送費: 数千円
- 弁護士費用: 不要(自分で手続き可能)
手続きの流れ
- 簡易裁判所に「少額訴訟の訴状」を提出
- 裁判所が期日を指定(1〜2ヶ月後)
- 1回の審理で判決(原則即日判決)
- 判決確定後、強制執行可能
こんな人におすすめ
- 請求額が60万円以下
- 早く解決したい
- 証拠がしっかりしている
3. 通常訴訟
通常訴訟とは?
正式な裁判手続きです。金額制限はありません。
メリット
- ✅ 金額制限がない(100万円以上の案件も可能)
- ✅ 複雑な案件にも対応可能
- ✅ 正式な判決が出る
デメリット
- ❌ 時間がかかる(半年〜1年以上)
- ❌ 費用が高い(弁護士費用込みで数十万円〜)
- ❌ 手続きが複雑(弁護士推奨)
費用
- 申立手数料: 数万円(請求額による)
- 弁護士費用: 着手金20〜30万円 + 成功報酬(回収額の10〜20%)
手続きの流れ
- 地方裁判所または簡易裁判所に「訴状」を提出
- 裁判所が期日を指定(複数回の審理)
- 証拠調べ、証人尋問など
- 判決(数ヶ月〜1年後)
- 判決確定後、強制執行可能
こんな人におすすめ
- 請求額が100万円以上
- 証拠が不十分で、証人尋問が必要
- 相手が争う姿勢を見せている
どれを選ぶべき?フローチャート
ステップ1: 金額を確認
Q: 請求額はいくらですか?
- 60万円以下 → 少額訴訟 or 支払督促
- 60万円以上 → 通常訴訟 or 支払督促
ステップ2: 証拠の有無を確認
Q: 証拠はしっかりしていますか?(請求書、契約書、メールなど)
- 証拠がしっかりしている → 支払督促 or 少額訴訟
- 証拠が不十分 → 弁護士に相談して通常訴訟
ステップ3: 相手の反応を予測
Q: 相手は争う姿勢を見せていますか?
- 争わない(無視している) → 支払督促
- 争う姿勢を見せている → 少額訴訟 or 通常訴訟
ステップ4: 費用対効果を確認
Q: 弁護士費用をかけても回収したいですか?
- 費用をかけたくない → 支払督促 or 少額訴訟(自分で手続き)
- 費用をかけても回収したい → 通常訴訟(弁護士依頼)
よくある質問
Q1: 弁護士に頼まなくても手続きできますか?
A: 支払督促と少額訴訟は、弁護士なしでも可能です。
裁判所の窓口で相談すれば、書き方を教えてもらえます。ただし、通常訴訟は複雑なため、弁護士に依頼するのが一般的です。
Q2: 勝訴しても相手が払わない場合は?
A: 強制執行ができます。
判決が確定すれば、相手の銀行口座や給与を差し押さえることができます。ただし、相手に資産がない場合は回収できません。
Q3: 費用倒れしないか心配です
A: 回収額と費用を比較しましょう。
| 請求額 | おすすめ手続き | 費用目安 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 支払督促 | 数千円 |
| 10〜60万円 | 少額訴訟 | 1〜3万円 |
| 60〜100万円 | 支払督促 or 通常訴訟 | 数千円〜30万円 |
| 100万円以上 | 通常訴訟 | 30万円〜 |
回収額が30万円未満の場合、弁護士費用は費用倒れのリスクがあります。
Q4: 時効は大丈夫ですか?
A: 売掛金の時効は5年です。
2020年4月の民法改正後、原則5年です。ただし、内容証明の送付や訴訟提起により時効を中断できます。
まとめ
| 手続き | 金額 | 費用 | 期間 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|---|
| 支払督促 | 制限なし | 数千円 | 1〜2ヶ月 | 証拠がしっかりしている人 |
| 少額訴訟 | 60万円以下 | 1〜3万円 | 1日 | 早く解決したい人 |
| 通常訴訟 | 制限なし | 数十万円 | 6ヶ月〜 | 高額案件・複雑な案件 |
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重要な注意事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。
- 法的手続きは専門的な知識を要するため、必ず弁護士や司法書士にご相談ください。
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- 個別の事案によって最適な手続きは異なります。専門家への相談を強く推奨します。
最終更新: 2025年11月01日
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