#交渉術#質問法#支払い遅延#コミュニケーション

支払い遅延の理由を聞き出す交渉術|相手が本音を話す質問法

✍️編集部

この記事は誰のため?

この記事は、以下のような状況でお困りの方に向けて書かれています:

  • 催促しても「わかりました」としか言ってもらえず、理由がわからない
  • 相手の本当の支払い能力を知りたい
  • 理由に応じた適切な対応策を取りたい

この記事を読むことで、相手が本音を話しやすくなる質問法と、理由別の対処法がわかります。


理由を聞くことの重要性

「とりあえず催促すればいい」と思っていませんか?

実は、支払い遅延の理由によって、取るべき対応は大きく異なります

理由を聞かないとどうなるか

理由を聞かずに一方的に催促すると、様々な問題が起こります。単純な忘れだったのに強く催促して相手との関係が悪化したり、一時的な資金繰り問題なのに分割払いを提案せず回収のチャンスを逃したりします。また、成果物への不満が原因なのに催促だけして問題が解決しないケースや、相手が倒産危機なのに気づかず回収タイミングを逃すケースもあります。

理由別の対応策が成功率を上げる

理由がわかれば、回収成功率は2〜3倍に向上します。相手の状況に合わせた適切な対応ができるからです。


支払い遅延の典型的な理由10パターン

理由1: 単純に忘れていた(発生頻度: 約20%)

実は支払い遅延の理由として最も多いのが、単純に忘れていたというケースです。支払い能力はあるし悪意もない、ただうっかり忘れていただけ。この場合は指摘すればすぐに払ってくれます。

理由2: 請求書が届いていない・見つからない(発生頻度: 約15%)

メールが他のメールに埋もれてしまったり、社内で請求書を紛失したり、担当者が見落としたりするケースも意外と多いです。悪意がないだけに、再送付すれば問題なく解決することがほとんどです。

理由3: 一時的な資金繰りの問題(発生頻度: 約25%)

最も多いのがこのパターンです。支払い意思はあるものの、一時的に資金繰りが厳しい状態。数週間から数ヶ月で改善の見込みがあり、分割払いで解決できる可能性が高いです。


理由4: 成果物に不満がある

発生頻度: 約10%

特徴:

  • 品質・内容への不満
  • 「言った・言わない」の食い違い
  • 修正対応で解決可能

理由5: 社内の承認プロセスが遅れている

発生頻度: 約10%

特徴:

  • 大企業に多い
  • 担当者に支払い権限がない
  • 上司・経理部門の承認待ち

理由6: 担当者が不在・退職した

発生頻度: 約5%

特徴:

  • 引き継ぎ不足
  • 後任が状況を把握していない
  • 連絡先の変更

理由7: 支払い条件に誤解がある

発生頻度: 約5%

特徴:

  • 「月末締め翌月末払い」の認識違い
  • 支払期日の勘違い
  • 金額の認識違い

理由8: 意図的に支払いを遅らせている

発生頻度: 約5%

特徴:

  • 資金繰りのために意図的に遅延
  • 他の支払いを優先
  • 催促されるまで払わない方針

理由9: 倒産・廃業の危機

発生頻度: 約3%

特徴:

  • 深刻な資金繰り悪化
  • 複数の債権者から催促
  • 電話に出ない、連絡を避ける

理由10: 詐欺・持ち逃げ

発生頻度: 約2%

特徴:

  • 最初から払う気がない
  • 連絡が取れなくなる
  • オフィスが閉鎖

相手が本音を話す質問法

基本の質問フレーズ

まず使いたいのが、**「何か事情がございますか?」**というフレーズです。オープンな質問で相手が答えやすく、責めるトーンがありません。相談に乗る姿勢を示すことで、相手も本音を話しやすくなります。

次に有効なのが、**「お支払いが難しい状況でしょうか?」**という質問です。これは資金繰り問題を探る質問で、分割払い提案への布石にもなります。相手も「実は資金繰りが...」と言い出しやすくなります。

そして、**「ご不明点やご不満点はございませんか?」**という質問も重要です。成果物への不満を引き出せますし、誤解を解く機会にもなります。問題解決の姿勢を示すことで、相手との対話が建設的になります。


オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け

オープンクエスチョン(自由回答)

オープンクエスチョンは、理由を探る初期段階で使う質問です。「どのようなご事情でしょうか?」「いつ頃でしたらお支払い可能でしょうか?」「何か弊社で対応できることはございますか?」といった形で、相手に自由に答えてもらいます。

この質問形式のメリットは、相手の本音が聞けることと、予想外の情報が得られることです。ただし、曖昧な回答をされることがあったり、時間がかかったりするデメリットもあります。

クローズドクエスチョン(Yes/No回答)

クローズドクエスチョンは、具体的な確認段階で使う質問です。「今週金曜日までのお支払いは可能でしょうか?」「分割払いをご希望ですか?」「請求書は届いておりますか?」のように、Yes/Noで答えられる形にします。

明確な回答が得られ、時間が短縮できるメリットがある一方で、理由を深掘りしにくいというデメリットがあります。

使い分けのコツは、最初はオープンクエスチョンで理由を探り、理由がわかったらクローズドクエスチョンで具体化していくことです。


相手が話しやすくなる雰囲気作り

責めるトーンを避ける

NG: 「なぜ払わないんですか?」 OK: 「何か事情がございますか?」

NG: 「約束を守ってください」 OK: 「ご相談いただければ、柔軟に対応いたします」


「ご相談いただければ」と逃げ道を残す

: 「資金繰りが厳しいようでしたら、分割払いなどもご相談いただけますので、まずは状況をお聞かせください」

効果:

  • 相手が本音を言いやすくなる
  • 「相談すれば解決策がある」と思わせる

沈黙を恐れない

質問した後、5秒間は沈黙を恐れずに待つ

理由:

  • 相手が考える時間を与える
  • 焦って話し始める可能性が高まる
  • 沈黙のプレッシャーで本音が出やすい

NGな質問・言い方

NG1: 「なぜ払わないんですか?」(詰問調)

この聞き方は相手を責めている印象を与え、防御的な反応を引き出してしまいます。本音を聞くどころか、相手は心を閉ざしてしまうでしょう。「何か事情がございますか?」と柔らかく聞くように改善しましょう。

NG2: 「本当のところは?」(疑いの表現)

この表現は、相手を信用していないというメッセージになってしまいます。関係が悪化するだけでなく、嘘の上塗りを招く可能性もあります。「詳しい状況をお聞かせいただけますか?」と中立的に聞くべきです。

NG3: 「それは言い訳ですよね?」(否定的)

相手の話を頭から否定すると、これ以上何も話してもらえなくなります。敵対関係を生むだけです。「そういった事情もあるのですね。では、〇〇という方法はいかがでしょうか?」と、まず受け止めてから解決策を提案しましょう。


理由別の対処法

理由1: 単純に忘れていた → 再度請求書を送付、その場で支払い日を確約

対応フロー:

  1. 電話で「お忘れではありませんか?」と優しく確認
  2. 請求書をメールで再送付
  3. 「いつまでにお支払いいただけますか?」と期日を確約
  4. カレンダーに記録してもらうよう依頼

成功率: 90%以上


理由2: 請求書が届いていない → 再送付、メールでも送る

対応フロー:

  1. 「請求書はお手元に届いておりますか?」と確認
  2. メールでPDF送付
  3. 郵送でも再送付
  4. 到着確認の電話

注意点:

  • 「届いていない」は言い訳の可能性もある
  • 配達証明付き郵便で証拠を残す

理由3: 一時的な資金繰りの問題 → 分割払いの提案、支払い計画の作成

対応フロー:

  1. 「月にいくらならお支払い可能ですか?」と質問
  2. 分割払いのスケジュールを提案
  3. 分割払い合意書を作成
  4. 第1回の支払いを1週間以内に設定

詳しくは: 分割払いの合意書の作り方


理由4: 成果物に不満がある → 不満点のヒアリング、修正対応の検討

対応フロー:

  1. 「どの点にご不満がございますか?」と具体的に聞く
  2. 契約書・仕様書と照らし合わせる
  3. 正当な不満なら修正対応
  4. 不当な要求なら丁寧に説明

注意点:

  • 不満を認めすぎると、支払い拒否の口実を与える
  • 契約書に基づいて冷静に対応

理由5: 社内承認が遅れている → 承認フローの確認、進捗の定期確認

対応フロー:

  1. 「現在どの段階でしょうか?」と承認状況を確認
  2. 「いつ頃承認される見込みですか?」と期限を確認
  3. 担当者に定期的にフォロー
  4. 必要なら上司に直接連絡

理由6: 担当者不在・退職 → 後任者の確認、上司への連絡

対応フロー:

  1. 「〇〇様の後任はどなたでしょうか?」と確認
  2. 後任者に状況を説明
  3. 引き継ぎ資料を再送付
  4. 上司にも状況を報告

詳しくは: 担当者不在の場合の対処法


理由7: 支払い条件に誤解 → 契約書・請求書の再確認、条件の再説明

対応フロー:

  1. 「支払期日は〇月〇日でご認識いただいておりますか?」と確認
  2. 契約書・請求書を再送付
  3. 該当箇所を蛍光ペンでマーク
  4. 相手の認識を正す

理由8: 意図的な遅延 → 法的手続きの検討、内容証明の送付

対応フロー:

  1. 「支払い意思はおありですか?」と明確に確認
  2. 期限を設定して最後通告
  3. 内容証明郵便で催促
  4. 法的措置を予告

詳しくは: 内容証明の書き方


理由9: 倒産危機 → 債権保全措置、専門家への相談

対応フロー:

  1. 倒産の兆候を確認(他社への未払い、オフィスの様子など)
  2. 即座に弁護士に相談
  3. 仮差押えなどの法的措置
  4. 他の債権者に先駆けて回収

詳しくは: 倒産・破産時の債権回収


理由10: 詐欺・持ち逃げ → 警察・弁護士への相談

対応フロー:

  1. 詐欺の証拠を集める(メール、契約書など)
  2. 警察に被害届を提出
  3. 弁護士に相談
  4. 内容証明郵便で請求

電話とメールでの質問の違い

電話のメリット・デメリット

電話の最大のメリットは、相手の反応がリアルタイムでわかることです。声のトーンから本音を読み取れますし、相手の反応を見ながら質問を柔軟に変更できます。即座に回答が得られるのも大きな利点です。

一方で、記録が残らないというデメリットがあります。相手が電話に出ない場合は連絡できませんし、後から「言った・言わない」のトラブルになるリスクもあります。

電話は、初回の理由確認、緊急性の高い催促、分割払いの交渉など、相手と直接対話したい場面で使うのが効果的です。

メールのメリット・デメリット

メールの良い点は、記録が残ることです。相手も都合の良い時に回答できますし、こちらも冷静に文章を考えられます。証拠として使えるのも重要なメリットです。

しかし、回答が遅かったり、相手の本音が読み取りにくかったり、無視される可能性もあります。

メールは、電話後の確認、契約書・請求書の再送付、支払い計画の提案など、記録を残したい場面で活用しましょう。


使い分けのポイント

基本戦略:

  1. 電話で理由を聞く
  2. メールで内容を確認
  3. 電話で期限を確約

相手の嘘を見抜く方法

矛盾する発言

:

  • 前回: 「来週には払います」
  • 今回: 「請求書が届いていない」

→ 言い訳が変わっている


具体性のない説明

:

  • 「近日中に」「できるだけ早く」「そのうち」

→ 具体的な日付を言えない = 払う気がない


連絡が取れなくなる

サイン:

  • 電話に出ない
  • メールの返信がない
  • 留守電に折り返しがない

→ 意図的に避けている


よくある質問(FAQ)

Q1. 理由を聞かずに催促してもいい?

A. 小額案件なら催促のみでもOK。高額案件は理由を聞くべき

10万円未満の小額案件:

  • 「お支払期日を過ぎておりますので、お振込みをお願いします」とシンプルに催促

10万円以上の高額案件:

  • 理由を聞いて、適切な対応を取る

Q2. 相手が理由を言いたがらない場合は?

A. 選択肢を提示して選んでもらう

: 「お支払いが難しい理由として、よくあるのは以下です。どれに近いでしょうか?」

  1. 一時的な資金繰りの問題
  2. 請求書が届いていない
  3. 社内承認が遅れている
  4. その他

→ 選択肢があると答えやすい


Q3. 嘘をつかれた場合の対応は?

A. 記録を残し、次回以降は強い態度で臨む

対応:

  1. 嘘の内容をメールで記録
  2. 「前回は〇〇とおっしゃいましたが、今回は〇〇とのことで、矛盾していますね」と指摘
  3. 「明確な支払期日を約束していただけない場合、法的措置を検討します」と通告

まとめ

理由別対処法一覧表

理由 発生頻度 対処法 成功率
忘れていた 20% 再送付・期日確約 90%
請求書未着 15% 再送付 80%
資金繰り問題 25% 分割払い提案 70%
成果物不満 10% 修正対応 60%
社内承認遅延 10% 進捗確認 80%
担当者不在 5% 後任確認 70%
条件誤解 5% 再説明 90%
意図的遅延 5% 法的措置予告 50%
倒産危機 3% 債権保全 30%
詐欺 2% 警察・弁護士 10%

質問法の3つのポイント

  1. オープンクエスチョンで理由を探る
  2. 責めるトーンを避け、相談に乗る姿勢を示す
  3. 理由に応じた適切な対応策を提示する

理由を聞くことで、回収成功率は大幅に向上します。


次のステップ

理由を聞き出した後は、具体的な催促方法を学びましょう。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の状況に応じて、弁護士などの専門家にご相談ください。

最終更新: 2025年11月18日

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