#社内フロー#報告#エスカレーション#経理業務

経理担当者が知るべき未払い対応の社内フロー|上司への報告タイミング

✍️編集部

この記事は誰のため?

この記事は、以下のような状況でお困りの方に向けて書かれています:

  • 未払いが発生したが、社内で誰にどう報告すべきかわからない
  • 営業部門と経理部門の連携がうまくいかない
  • どの段階で上司に報告すべきか判断に迷う
  • 未払い対応の記録をどう残すべきかわからない

未払い対応は、社内フローが整っているかどうかで回収率が大きく変わります。この記事では、経理担当者が実務で使える社内フローと報告のタイミングを解説します。


社内フローが整っていないリスク

適切な社内フローがないと、様々な問題が発生します。

まず、回収が遅れてしまいます。誰が対応すべきか不明確なため、「とりあえず様子を見よう」という判断になりがちで、対応が後手に回ります。

また、情報が共有されないことも大きな問題です。営業部門と経理部門で情報が分断され、重複して連絡してしまったり、逆に誰も連絡しなかったりします。

さらに、法的手続きのタイミングを逃すリスクもあります。エスカレーションが遅れると、時効が迫ってしまうこともあります。

そして最悪なのが、社内で責任のなすり合いが起こることです。「それは営業の責任だろ」「いや、経理が管理すべきだ」と対立してしまい、結局誰も動かなくなります。

興味深いデータがあります。適切な社内フローを整備すると、回収率が30〜40%向上するという調査結果があるのです。フロー整備は確実に効果があります。


未払い対応の基本フロー

ステップ1: 未払いの発見

経理担当者が最初に行うのは、入金確認と未払いの発見です。

入金確認はどのくらいの頻度で行うべきか

毎日確認するのが理想ですが、現実的には作業負担が大きくなります。一方で週1回だと、発見が遅れてしまいます。

推奨は、月末・月初は毎日確認し、それ以外の期間は週1回確認するという方法です。入金が集中する時期だけ頻度を上げることで、効率的に管理できます。

入金予定表との照合作業

入金予定表(請求書一覧)と銀行の入金記録を照合します。

チェックすべきポイントは3つです。請求金額と入金金額が一致しているか、振込依頼人名が正しいか(取引先名と異なる場合があります)、そして未入金の案件をリストアップすることです。

入金確認チェックシート例

未払いリストを作成する

未払いが発覚したら、情報を整理してリスト化しましょう。記録すべき項目は、取引先名、請求金額、支払期日、経過日数、担当者名(営業担当者)、対応状況です。

このリストがあれば、誰が見ても状況がわかり、引き継ぎもスムーズになります。


ステップ2: 営業担当者への連絡

未払いを発見したら、まず営業担当者に情報を共有します。

なぜ営業担当者に先に連絡するのか?

営業担当者は取引先と直接やり取りしているため、大きなメリットがあります。

まず、関係性を活かした柔らかい催促ができます。経理から直接連絡するよりも、普段から付き合いのある営業担当者から連絡する方が、相手も応じやすいものです。

また、取引先の事情を把握しています。担当者が異動したとか、最近経営状況が厳しいといった情報は、営業担当者の方が詳しく知っています。

そして、今後の取引継続を考慮した対応ができます。強硬な催促で関係が壊れてしまうと、将来の取引にも影響するため、営業の視点が必要です。

どの方法で連絡するか

連絡方法は3つあります。

メールは記録が残り、複数案件をまとめて連絡できるので便利です。チャットは迅速でカジュアルなやり取りができます。口頭は緊急時や少額案件に向いています。

状況に応じて使い分けましょう。

連絡テンプレート(メール)

件名: 【経理】未入金のご確認(〇〇株式会社)

営業部 〇〇様

お疲れ様です。経理の〇〇です。

下記の案件につきまして、支払期日を過ぎておりますが
入金を確認できておりません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【未入金案件】
・取引先: 〇〇株式会社
・請求金額: 100,000円
・請求書番号: INV-202501-001
・支払期日: 2025年1月31日(3日経過)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

お手数ですが、取引先にご確認いただけますでしょうか。

何かご事情がありましたら、お知らせください。

よろしくお願いいたします。

ステップ3: 経理から直接催促

営業担当者が対応しない、または対応できない場合、経理が直接催促に乗り出します。

どんなときに経理が直接催促すべきか

経理が直接催促すべき状況はいくつかあります。

営業担当者に連絡したのに1週間以内に対応してくれない場合、待っていても時間の無駄です。営業担当者が退職・異動してしまった場合も、経理が動くしかありません。

また、営業担当者が「自分では対応できない」と言うケースもあります。取引先との関係が微妙な場合、営業が動きづらいこともあるのです。

少額案件で営業の手を煩わせたくない場合も、経理が直接対応する方が効率的です。

経理から送る催促メールの例

件名: お支払い期日経過のご確認

〇〇株式会社
経理部 〇〇様

いつもお世話になっております。
株式会社△△ 経理部の△△です。

下記の請求書につきまして、お支払い期日を過ぎておりますが
ご入金を確認できておりません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・請求書番号: INV-202501-001
・ご請求金額: 100,000円
・お支払い期日: 2025年1月31日(既に7日経過)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

すでにお手続き済みの場合は、行き違いで失礼いたしました。
お手続きがまだの場合は、ご確認をお願いいたします。

【お振込先】
銀行名: 〇〇銀行
支店名: 〇〇支店
口座番号: 1234567

何卒よろしくお願いいたします。

ステップ4: 上司への報告

一定の基準を満たした場合、上司に報告します。

どんなときに報告すべきか

報告すべき状況は5つあります。いずれかに該当したら、上司に相談しましょう。

2回催促しても反応がない場合、もう自分だけでは対処できません。金額が10万円以上の場合(会社の基準によります)も、上司の判断を仰ぐべきです。

相手から「支払えない」と言われた場合は、すぐに報告が必要です。取引先が倒産しそうな兆候がある場合や、担当者と連絡が取れない場合も同様です。

報告すべきタイミングのチェックリスト

報告が早すぎる例

逆に、報告が早すぎる例もあります。

1回目の催促前に報告するのは早すぎます。支払期日から3日以内もまだ様子を見るべきです。少額案件(1万円以下)も、自分で対応できる範囲です。

タイミングを見極めることが大切です。

報告フォーマット

件名: 【未払い案件報告】〇〇株式会社(10万円)

経理部長 〇〇様

お疲れ様です。経理の〇〇です。

下記の未払い案件につきまして、ご報告いたします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【案件情報】
・取引先名: 〇〇株式会社
・請求金額: 100,000円
・支払期日: 2025年1月31日(既に14日経過)
・請求書番号: INV-202501-001

【催促履歴】
・2月3日: 営業担当者(〇〇)に連絡
・2月7日: 経理から直接メール送付(1回目)
・2月14日: 経理から直接メール送付(2回目)

【相手の反応】
・すべて無視(返信なし)

【次のアクション案】
・内容証明郵便の送付
・法的手続きの検討
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ご指示をいただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。

ステップ5: 法的手続きの検討

上司の判断により、法的手続きを検討します。

検討すべき状況

  • 催促を3回以上しても反応がない
  • 支払期日から1ヶ月以上経過
  • 相手が「支払わない」と明言
  • 金額が50万円以上

弁護士への相談タイミング

  • 100万円以上の案件
  • 相手が倒産しそう
  • 内容証明を送っても反応がない

詳しくは弁護士費用の相場をご覧ください。


営業部門との連携方法

営業と経理の役割分担

営業部門と経理部門で、それぞれ得意分野が異なります。

初回催促と取引先との関係維持は営業部門の役割です。一方、入金管理、記録の作成・保管、法的手続きの準備、上司への報告は経理部門が担当します。

この役割分担を明確にしておくことで、スムーズに連携できます。

連携がうまくいかないケース

ケース1: 営業が「自分が対応する」と言って放置

よくあるのが、営業が「自分が対応するから」と言いながら、実際には何もしないパターンです。経理側も「営業が対応すると言ったし...」と待ってしまい、時間だけが経過します。

解決策は、社内ルールで「〇日以内に対応」と期限を設定することです。期限を過ぎたら、経理が直接催促に動きます。

ケース2: 経理が営業に丸投げ

逆のパターンもあります。経理が「これは営業が対応すべきだろ」と丸投げし、営業が「いや、経理の仕事だろ」と反発するケースです。

解決策は、役割分担を明確にすることです。さらに、金額や期間で自動的に経理主導に切り替わるルールを設定しておくと、判断に迷いません。

ケース3: 情報共有がない

もう一つよくあるのが、情報共有がないケースです。営業が取引先と直接やり取りして、経理に情報が来ない。そして経理が知らずに催促し、営業が「聞いてないぞ!」と怒るパターンです。

解決策は、共有の管理表を使うことです。ExcelやGoogleスプレッドシートで、誰でも状況を確認できるようにしましょう。定期的なミーティング(週1回など)も効果的です。


エスカレーション基準

金額基準

金額 対応者 報告先
1万円未満 経理担当者 報告不要
1〜10万円 経理担当者 課長に報告(反応がない場合)
10〜50万円 経理担当者 課長に報告(必須)
50〜100万円 課長 部長に報告
100万円以上 部長 経営者に報告

期間基準

経過期間 アクション
支払期日から3日 営業担当者に連絡
支払期日から1週間 経理から直接催促
支払期日から2週間 2回目の催促
支払期日から1ヶ月 上司に報告
支払期日から2ヶ月 法的手続き検討
支払期日から3ヶ月 弁護士相談

状況基準(即座に上司へ報告)

⚠️ 即座に上司に報告すべき状況

  • 相手が倒産しそう
  • 相手が「支払わない」と明言
  • 詐欺の疑い
  • 担当者が逃げた・夜逃げした

記録の残し方

何を記録すべきか

すべての催促・やり取りを記録することが重要です。

記録すべき項目は、日時、催促方法(メール、電話、訪問)、誰が誰に連絡したか、相手の反応、次回予定です。

この記録があれば、後から見返したときに「いつ何をしたか」が一目瞭然になります。

記録フォーマットの例

Excelで管理する場合、以下のような形式が便利です。

日付、取引先名、金額、対応者、方法、相手の反応、次回予定を列に並べます。例えば、「2/3、〇〇株式会社、10万円、営業A、メール、『確認します』、2/10」といった形です。

こうすることで、案件ごとの経過が追いやすくなります。

記録は法的な証拠になる

法的手続きに進む場合、催促の記録が重要な証拠になります。

証拠として使えるのは、メールの送受信履歴、電話の通話記録(日時・内容をメモしたもの)、訪問記録(日時・対応者・会話内容)、内容証明郵便の控えなどです。

「記録を取っておけばよかった...」と後悔しないよう、最初からしっかり記録しましょう。


社内ルールの整備方法

未払い対応マニュアルの作成

社内で統一したルールを作成します。

マニュアルに含めるべき内容

  • 誰が、いつ、何をするか
  • 報告フォーマット
  • エスカレーション基準
  • 記録の残し方
  • 法的手続きの判断基準

定期的な見直し

  • 半年〜1年に1回、マニュアルを見直す
  • 実際の運用での問題点を反映
  • 法改正や業界慣習の変化に対応

よくある質問(FAQ)

Q1. 営業担当者が「自分が対応する」と言った場合は?

A. 期限を設定しましょう。 「〇日までに対応をお願いします。それまでに進展がなければ経理から直接連絡します」と伝えます。

Q2. 上司が忙しくて報告できない場合は?

A. メールで報告し、記録を残しましょう。 「ご多忙中恐縮ですが、ご確認をお願いします」と送り、返信がなくても記録として残ります。

Q3. 記録はいつまで保存すべき?

A. 最低5年間(債権の時効期間)保存します。 法的手続きに進む可能性を考慮し、長期保存が推奨されます。

Q4. 少額案件でも上司に報告すべき?

A. 金額だけでなく、状況も考慮します。 少額でも、相手が「支払わない」と明言した場合や、詐欺の疑いがある場合は報告します。


まとめ: 社内フローチェックリスト

未払い発見時の対応フロー

未払い発見
↓
営業担当者に連絡(3日以内)
↓ 反応なし・対応なし
経理から直接催促(1週間後)
↓ 反応なし
2回目の催促(2週間後)
↓ 反応なし
上司に報告(1ヶ月後)
↓
法的手続き検討(2ヶ月後)

重要なポイント

  • 役割分担を明確にする(営業と経理)
  • 期限を設定する(〇日までに対応)
  • 記録を残す(すべてのやり取り)
  • エスカレーション基準を守る(金額・期間・状況)
  • 定期的に見直す(マニュアルの改善)

社内フローが整っていれば、未払い対応はスムーズに進みます。今すぐ社内で統一ルールを作成しましょう。


次のステップ

社内フローを整えた後、具体的な催促方法について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の状況に応じて、弁護士などの専門家にご相談ください。

最終更新: 2025年11月18日

💡

催促メールの作成、毎回大変ではありませんか?

請求書の送付から入金確認、催促メールの送信まで、請求・入金管理を一元化できるツールがあります。

  • 請求書の送付から入金確認まで自動化
  • 未入金案件を自動でリスト化、対応状況を一目で把握
  • 催促メールテンプレをワンクリックで送信
  • 経営者や上司にリアルタイムで未回収状況を共有

まずは無料トライアルで、請求・入金業務の効率化を実感してください。

MakeLeapsを無料で試す →

※ 実績5,400社以上・リコーグループの請求管理クラウド

※ 当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています