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債権回収会社(サービサー)の活用法|メリット・デメリットと費用

✍️編集部

この記事は誰のため?

自社で何度催促しても支払ってもらえない、少額債権が多数あって回収に時間を割けない、弁護士に依頼するほどの金額ではないけれど専門家に任せたい。そんな状況でお困りの方に向けて、この記事を書きました。

この記事を読むことで、債権回収会社(サービサー)の活用方法と、費用対効果の判断基準がわかります。


債権回収会社(サービサー)とは

サービサーの定義

債権回収会社(サービサー)とは、法務大臣の許可を受けた債権回収専門会社のことです。

「債権管理回収業に関する特別措置法」(通称:サービサー法)に基づいて、債権の買取や回収代行、さらには訴訟提起などの法的手続きの代行を行っています。つまり、未払い債権の回収を専門に扱う会社というわけです。

サービサーと弁護士の違い

サービサーと弁護士は、どちらも債権回収を手伝ってくれる存在ですが、役割が少し違います。

サービサーは債権回収の専門家として、債権の買取や回収代行を行います。費用は成功報酬が中心で30〜50%程度です。少額債権でも対応してくれるのが特徴ですが、訴訟代理は提携弁護士に依頼する形になります。

サービサーと弁護士の違い比較表

一方、弁護士は法的手続き全般のプロフェッショナルです。訴訟代理まで直接対応できますが、着手金が必要で、少額債権の場合は依頼を断られることもあります。ただし成功報酬は10〜20%と、サービサーより低めに設定されています。

サービサー 弁護士
業務内容 債権の買取・回収代行 訴訟代理まで可能
費用 成功報酬30〜50% 着手金+成功報酬
少額債権対応 △(断られることも)
訴訟代理 ×(提携弁護士に依頼)
債権買取 ×

サービサー活用の2つの方法

サービサーを活用するには、大きく分けて2つの方法があります。

方法1: 債権の売却(買取)

債権そのものをサービサーに売却する方法です。

仕組み

  1. サービサーが債権を査定
  2. 査定額で債権を買い取ってもらう
  3. 以降の回収業務はサービサーが担う

買取価格

債権額の**10〜30%**が相場です。

: 債権額100万円の場合

  • 買取価格: 10〜30万円
  • 即座に現金化できる

メリット

この方法の良い点は、何といっても即座に現金化できることです。また、回収できるかどうかのリスクを負う必要がなく、以降の催促業務からも完全に解放されます。すぐに資金が必要な場合や、もう催促業務に時間を使いたくない場合に適しています。

デメリット

一方で気をつけたいのは、回収額が大幅に減るという点です。債権額の10〜30%での買取になるため、手元に残る金額は少なくなります。また、債権額が低い場合は買い取ってもらえないこともあります。

方法2: 回収業務の委託

回収業務だけをサービサーに依頼する方法です。

仕組み

  1. サービサーと委託契約を結ぶ
  2. サービサーが債務者に催促・交渉
  3. 回収できた金額から手数料を支払う

手数料

回収できた金額の**30〜50%**が相場です。

: 債権額100万円、80万円回収できた場合

  • 手数料: 24〜40万円(30〜50%)
  • 手元に残る: 40〜56万円

メリット

委託方式の良いところは、初期費用がかからないことです。成功報酬のみなので、回収できなければ費用負担もありません。また、買取よりも手元に残る金額が多い可能性があります。リスクを抑えながら、専門家に任せられる点が魅力です。

デメリット

ただし、回収できなければ1円も入らないという点には注意が必要です。また、買取と違って即座に現金化できるわけではないため、回収までに時間がかかります。


サービサー活用のメリット

メリット1: 回収のプロに任せられる

サービサーは債権回収のノウハウと実績を持っています。相手の心理を読んだ交渉術や、法的手続きへのスムーズな移行、債務者の財産調査など、専門的なスキルを駆使して回収にあたってくれます。そのため、自社で催促するよりも回収率が高い傾向があります。

メリット2: 時間と労力の節約

催促業務には、想像以上に時間がかかるものです。電話やメールでの催促、内容証明郵便の作成、裁判所への書類提出など、やるべきことは山積みです。サービサーに任せることで、こうした煩雑な業務から解放され、本業に集中できます

メリット3: 精神的負担の軽減

未払い対応は、精神的にもストレスがかかります。相手と直接やり取りするストレス、回収できるか不安な日々、感情的なトラブルのリスクなど、気持ちの面でも大変です。第三者であるサービサーが介入することで、相手にプレッシャーを与えつつ、自分はストレスから解放されます。

メリット4: 少額債権でも対応可能

弁護士は高額債権でないと依頼を受けないケースが多いですが、サービサーは少額債権でも対応してくれます。例えば、10万円〜50万円の債権が複数ある場合、まとめてサービサーに委託できます。少額だからといって諦める必要はありません。


サービサー活用のデメリット

デメリット1: 回収額が減る

サービサーに依頼すると、手数料や買取価格の差額により、手元に残る金額が減ります。買取の場合は債権額の10〜30%、委託の場合でも回収額の50〜70%しか手元に残りません。全額回収できるわけではないので、この点は理解しておく必要があります。

デメリット2: 相手との関係悪化

サービサーは専門業者として、時には強硬な回収手段を取る可能性があります。頻繁な電話催促や内容証明郵便の送付、場合によっては訴訟提起なども行います。そのため、今後の取引継続を考えている場合、サービサーの利用は避けるべきです。関係を維持したい相手には、別の方法を検討しましょう。

デメリット3: 回収できないリスク

サービサーでも、100%回収できるわけではありません。相手に支払い能力がない、相手が行方不明、相手が倒産・破産している場合など、どうしても回収できないケースがあります。委託の場合、回収できなければ1円も入らないという点は覚えておきましょう。


費用体系の比較

債権買取の場合

債権買取では、買取価格が債権額の10〜30%になります。初期費用はかからず、買取価格のみを受け取る形です。

具体例: 債権額100万円の場合

  • 買取価格: 10〜30万円
  • 即座に現金化
項目 内容
買取価格 債権額の10〜30%
初期費用 なし
成功報酬 なし(買取価格のみ)

回収委託の場合

回収委託では、初期費用はなし(または数万円程度)で、回収できた金額の30〜50%を成功報酬として支払います。

具体例: 債権額100万円、80万円回収できた場合

  • 手数料: 24〜40万円
  • 手元に残る: 40〜56万円
項目 内容
初期費用 なし(または数万円)
成功報酬 回収額の30〜50%

弁護士との費用比較

弁護士とサービサーの費用体系は、かなり違います。弁護士は着手金が10〜30万円と高額ですが、成功報酬は回収額の10〜20%と低めです。一方、サービサーは着手金がなし〜3万円と安いですが、成功報酬は回収額の30〜50%と高めに設定されています。少額債権の場合、初期費用が低いサービサーの方が使いやすいでしょう。

サービサー(委託) 弁護士
着手金 なし〜3万円 10〜30万円
成功報酬 回収額の30〜50% 回収額の10〜20%
少額債権対応

サービサーの選び方

ポイント1: 法務大臣の許可を確認

サービサーを選ぶ際、まず最初に確認すべきは法務大臣の許可です。無許可の業者は違法なので、絶対に依頼してはいけません。法務省のWebサイトで正式なサービサー一覧を確認できますので、必ずチェックしましょう。

法務省 債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧

ポイント2: 実績と評判

次に、サービサーの回収実績と評判を確認しましょう。過去の回収率はどのくらいか、口コミや評判はどうか(Googleレビューや企業サイトなど)、得意分野はBtoBか個人向けかなど、複数の観点から検討することが大切です。

ポイント3: 費用の透明性

費用体系が明確かどうかも重要なポイントです。買取価格や成功報酬を明示しているか、追加費用はないか、見積もりを無料で出してくれるかなど、お金に関する情報がはっきりしている業者を選びましょう。

ポイント4: 対応の丁寧さ

初回相談時の対応で、信頼できる業者かを見極めます。説明がわかりやすいか、質問に丁寧に答えてくれるか、強引な契約を迫らないかなど、担当者の人柄や姿勢も判断材料になります。


サービサーに依頼すべきケース

依頼すべき状況

どんな時にサービサーを使うべきか、迷う方も多いでしょう。自社で何度催促しても無視される、少額債権(10〜50万円)が多数ある、回収業務に時間をかけられない、相手との関係継続を考えていない、弁護士に依頼するほどの金額ではない。こうした状況なら、サービサーの活用を検討すべきです。

依頼しない方が良いケース

一方で、サービサーではなく他の方法を検討した方が良いケースもあります。相手が誠実に対応している場合(分割払いの相談など)、今後も取引を継続したい場合、債権額が数万円以下で費用倒れのリスクがある場合、相手が倒産・破産していて回収不可能な場合などです。こうした状況では、サービサーを使っても効果が薄いか、逆効果になる可能性があります。


サービサーへの依頼手順

ステップ1: 無料相談

まずは無料相談で、回収可能性と費用を確認します。この時、債権の内容(金額、発生日、取引内容)、相手の情報(会社名、住所、連絡先)、これまでの催促履歴などを準備しておくとスムーズです。

ステップ2: 契約

サービサーと契約を結びます。債権を売却するなら債権買取契約、回収業務だけを委託するなら債権回収委託契約になります。契約内容をしっかり確認してから署名しましょう。

ステップ3: 債権情報の提供

サービサーに契約書、請求書、催促メールや内容証明のコピー、納品物の証拠、相手の連絡先などの情報・書類を提供します。証拠が多いほど、回収活動がスムーズに進みます。

ステップ4: 回収活動開始

サービサーが回収活動を開始します。電話や郵便での催促から始まり、必要に応じて訪問や法的手続き(訴訟、支払督促)も行います。定期的に進捗報告を受けられるので、状況を把握しながら待ちましょう。

ステップ5: 回収完了

回収できた金額を受け取り、手数料を支払います。委託の場合は回収額から手数料を差し引いた金額を受領し、買取の場合は契約時に買取価格を受領済みです。


主な債権回収会社(サービサー)

法務大臣の許可を受けた主なサービサーには、以下のような会社があります:

  • ジェイ・シー・エス債権回収株式会社
  • オリンポス債権回収株式会社
  • アビリオ債権回収株式会社
  • ニッテレ債権回収株式会社
  • パルティール債権回収株式会社

必ず法務省のWebサイトで正式な許可業者かを確認してください。


よくある質問(FAQ)

Q1. サービサーに依頼すると相手に通知される?

A. はい、サービサーは自社名義で催促を行うため、相手にはサービサーから連絡が行きます

ただし、委託契約であれば「〇〇社(依頼主)の債権を回収しています」と伝えます。

Q2. 回収できなかった場合の費用は?

A. 回収委託の場合、回収できなければ費用は原則かかりません(成功報酬制のため)。

ただし、初期費用が設定されている場合は、その分は負担します。

Q3. サービサーは違法な取り立てをしない?

A. 法務大臣の許可を受けたサービサーは、貸金業法に準じた方法で回収を行います。

  • 深夜・早朝の電話禁止
  • 暴力的・脅迫的な言動の禁止
  • 第三者への情報開示の禁止

違法な取り立てを行った場合、許可取消しの対象となります。


まとめ

サービサー活用の判断チェックリスト

  • 自社での回収が困難な債権がある
  • 少額債権が複数ある
  • 回収業務に時間を割けない
  • 相手との関係継続を考えていない
  • 法務大臣の許可を受けたサービサーを選ぶ
  • 費用体系を明確に確認する

費用体系比較表

方法 初期費用 成功報酬 手元に残る金額
債権買取 なし なし 債権額の10〜30%
回収委託 なし〜3万円 回収額の30〜50% 回収額の50〜70%
弁護士 10〜30万円 回収額の10〜20% 回収額の80〜90%−着手金
自力回収 実費のみ なし 回収額の100%

サービサーは、自力回収が困難で、弁護士に依頼するほどでもない中規模債権の回収に最適です。


次のステップ

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免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の状況に応じて、弁護士や債権回収の専門家にご相談ください。

最終更新: 2025年11月18日

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