請求書の再送と督促状の違い|段階別の使い分け
この記事は誰のため?
この記事は、以下のような状況でお困りの方に向けて書かれています:
- 請求書の再送、催促メール、督促状、内容証明の違いがわからない
- どの段階でどの書類を使うべきか迷っている
- 相手に与える印象を考慮した適切な催促方法を知りたい
未払いが発生した際、どの書類をいつ送るかで回収率が変わります。この記事では、4つの書類の違いと段階別の使い分けを解説します。
4つの書類の違い一覧表
| 書類 | タイミング | 法的効力 | 相手への印象 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 請求書 | 納品後・サービス提供後 | なし | 通常の取引 | なし |
| 請求書の再送 | 期日後3〜7日 | なし | やわらかい | なし |
| 催促メール | 期日後7〜14日 | なし | やや強め | なし |
| 督促状 | 期日後14〜30日 | 弱い | 強め | なし |
| 内容証明郵便 | 期日後30日以上 | 強い | 非常に強い | 1,500円程度 |
請求書の再送
どんなときに使うか
請求書の再送は、相手が「請求書が届いていない」と言った場合や、支払期日後3〜7日経過しても入金がない場合に使います。
これは最も柔らかいアプローチです。相手に「忘れていたかもしれない」という逃げ道を与えつつ、支払いを促すことができます。
書き方のポイント
件名は「【再送】〇月分の請求書」とシンプルにします。
本文では、請求書を再送する旨を伝え、「すでにお手続き済みの場合は、行き違いで失礼いたしました」という一文を必ず入れましょう。これがあることで、相手も気まずさを感じにくくなります。
請求書情報(請求書番号、金額、支払期日)を明記し、PDFを添付します。
法的効力と相手への印象
法的効力はありませんが、送付記録として残ります。
相手への印象としては、「単なる確認」という程度で、関係を損ねにくいのがメリットです。
催促メール
どんなときに使うか
催促メールは、1回目の確認メールに反応がない場合や、支払期日後7〜14日経過したときに使います。
請求書の再送よりも明確に「支払いを求める」姿勢を示す段階です。
書き方のポイント
件名は「【再送】〇月分のお支払いにつきまして」または「お支払い期日経過のご確認」とします。
本文
〇〇株式会社
〇〇様
お世話になっております。株式会社△△の△△です。
下記の請求書につきまして、お支払い期日を過ぎておりますが
ご入金を確認できておりません。
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【請求書情報】
・請求書番号: INV-202501-001
・ご請求金額: 100,000円(税込)
・お支払い期日: 2025年1月31日(既に7日経過)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
すでにお手続き済みの場合は、行き違いで失礼いたしました。
お手続きがまだの場合は、
〇〇年〇月〇日(〇曜日)までにお振込みをお願いいたします。
【お振込先】
銀行名: 〇〇銀行
支店名: 〇〇支店
口座番号: 1234567
何卒よろしくお願いいたします。
法的効力と相手への印象
催促メールに法的効力はありませんが、催促の証拠として記録に残ります。
相手への印象としては、「支払いを求めている」という明確な意思表示になります。やや強めの印象ですが、まだ友好的な範囲内です。
詳しくは催促メールのテンプレートをご覧ください。
督促状
どんなときに使うか
督促状は、2回目の催促メールにも反応がない場合、支払期日後14〜30日経過した場合、そして内容証明の前段階として使います。
内容証明ほど強くはないものの、正式な印象を与える書面です。相手に「そろそろ本気だぞ」という姿勢を伝えられます。

書き方のポイント
形式
- 書面(郵送またはPDF)
- 件名: 督促状
本文
督促状
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
株式会社〇〇の〇〇です。
下記の未払い金につきまして、これまで数回ご連絡させていただきましたが、
本日時点でもご入金を確認できておりません。
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【請求書情報】
・請求書番号: INV-202501-001
・ご請求金額: 100,000円(税込)
・お支払い期日: 2025年1月31日(既に14日経過)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
誠に恐縮ではございますが、
〇〇年〇月〇日(〇曜日)までにお支払いをお願いいたします。
期日までにご対応いただけない場合、
やむを得ず法的措置を検討させていただきます。
何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
【お振込先】
銀行名: 〇〇銀行
支店名: 〇〇支店
口座番号: 1234567
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇
電話: 03-xxxx-xxxx
メール: xxx@xxx.co.jp
法的効力と相手への印象
督促状は催促の証拠になりますが、時効中断効果はありません(時効中断効果があるのは内容証明のみです)。
相手への印象としては、「法的措置も検討している」という強いメッセージになります。内容証明ほど強くはありませんが、正式な書面という印象を与えられます。
メールと郵送のどちらを使うか
メールのメリットは、迅速で費用がゼロという点です。デメリットは、見落とされる可能性がある点です。
郵送のメリットは、正式で見落とされにくい点です。デメリットは、費用と時間がかかる点です。
おすすめは、メール送付を基本とし、重要な案件は郵送も併用することです。
内容証明郵便
どんなときに使うか
内容証明郵便は、督促状にも反応がない場合、支払期日後30日以上経過した場合、そして法的手続きの準備段階として使います。
これは最も強力な催促手段です。相手に「次は訴訟だ」という最後通告を突きつける形になります。
書き方のポイント
形式
- 郵便局での手続き
- 配達証明付き
- 「いつ、誰が、誰に、何を送ったか」が証明される
本文
催告書
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇様
貴社との取引において、下記の未払い金が発生しております。
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請求金額: 100,000円
支払期日: 2025年1月31日
経過日数: 30日
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これまで複数回にわたりご連絡させていただきましたが、
本日時点でもご入金を確認できておりません。
つきましては、本書面到達後7日以内にお支払いください。
期日までにお支払いいただけない場合、
やむを得ず法的措置を講じます。
2025年3月1日
株式会社△△
代表取締役 △△
詳しい書き方は内容証明の書き方をご覧ください。
法的効力
内容証明郵便には、催告として時効中断効果(6ヶ月間)があります。また、裁判での証拠として使えるという大きなメリットもあります。
費用
基本料金が約1,500円、配達証明が+320円で、合計約1,800〜2,000円程度かかります。少額ではありませんが、法的効力を考えれば必要なコストです。
相手への印象
相手への印象としては、「次は訴訟」という最後通告になります。これを送った時点で、関係は事実上終了したと考えるべきです。
段階別の使い分けフローチャート
支払期日経過
↓
【3〜7日後】請求書の再送 + 柔らかい確認メール
「すでにお手続き済みの場合は行き違いで失礼いたしました」
↓ 反応なし
【7〜14日後】催促メール(明確な依頼)
「〇日までにお振込みをお願いいたします」
↓ 反応なし
【14〜30日後】督促状(郵送またはメール)
「法的措置を検討させていただきます」
↓ 反応なし
【30日以上後】内容証明郵便
「本書面到達後7日以内にお支払いください」
↓ 反応なし
【内容証明から2週間後】法的手続き
支払督促・訴訟
メールと郵送の使い分け
メールの長所と短所
メールのメリットは、迅速に送れること、費用がかからないこと、送信履歴として記録が残ること、そして開封確認機能で相手が読んだかどうかわかることです。
デメリットは、見落とされる可能性があること、迷惑メールフォルダに入ってしまうこと、正式な印象が薄いことです。
郵送の長所と短所
郵送のメリットは、正式な印象を与えられること、相手が見落としにくいこと、そして内容証明は郵送でしか送れないことです。
デメリットは、費用がかかること(封筒・切手)、到着まで2〜3日かかることです。
どう使い分けるか
1〜2回目の催促はメールで十分です。3回目以降の督促状は、重要案件なら郵送、少額案件ならメールで対応します。内容証明は郵送のみです(配達証明付き)。
段階に応じて使い分けることで、コストを抑えつつ効果的に催促できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 督促状は自分で作成できる?
A. はい、できます。 督促状に決まった書式はありません。上記のテンプレートを参考に、自社で作成できます。
Q2. 督促状に法的な書式はある?
A. ありません。 督促状は法的な書類ではなく、催促のための書面です。ただし、以下を含めるべきです:
- 請求金額
- 支払期日
- 催促の理由
- 支払いの期限
Q3. 内容証明を送ると裁判になる?
A. 必ずしも裁判になるわけではありません。 内容証明は「法的手続きの一歩手前」という位置づけです。多くの場合、内容証明を送ることで相手が支払いに応じます。
Q4. 督促状と内容証明はどちらを先に送るべき?
A. 督促状 → 内容証明の順が一般的です。 いきなり内容証明を送ると関係が悪化しやすいため、まず督促状で様子を見ます。
Q5. メールでの催促は法的に有効?
A. はい、有効です。 メールも催促の証拠として認められます。ただし、送信履歴を保存しておく必要があります。
まとめ: 段階別使い分けチェックリスト
支払期日後3〜7日: 請求書の再送
柔らかい文面で確認し、「行き違いで失礼いたしました」という一文を必ず含めます。メールで送付すれば十分です。
支払期日後7〜14日: 催促メール
明確に支払いを求めましょう。「〇日までにお支払いください」と期限を設定し、振込先情報を再度記載します。
支払期日後14〜30日: 督促状
件名を「督促状」とし、「法的措置を検討します」と明記します。郵送またはメールで送付します。
支払期日後30日以上: 内容証明郵便
郵便局で配達証明付きで送付します。「本書面到達後7日以内」と期限を明示し、代表者宛に送ります。
内容証明から2週間後: 法的手続き
支払督促または訴訟を検討し、弁護士への相談を始めます。
段階的にエスカレーションすることで、相手に支払いの猶予を与えつつ、確実に回収を進められます。焦らず、一歩ずつ進めていきましょう。
次のステップ
各段階の具体的なテンプレートや法的手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の状況に応じて、弁護士などの専門家にご相談ください。
最終更新: 2025年11月18日
いまのあなたはどちら?
フェーズ1
まだ関係を維持しながら催促したい
1〜2回目の催促段階で、相手との関係を維持しながら入金を促したい方
- ✓未入金案件を自動でリスト化
- ✓催促メールをテンプレで送信
- ✓対応履歴を自動記録
フェーズ2
法的手続きを検討している
2〜3回催促しても反応がなく、内容証明や法的手続きを検討している方
- ✓弁護士・司法書士による無料相談
- ✓回収可能性を客観的に判断
- ✓内容証明〜訴訟まで代行可能
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