未払いトラブルの成功事例と失敗事例｜10のケーススタディ

この記事は誰のため?

未払い対応の実例を知りたい、何が成功と失敗の分かれ目なのか理解したい、他社の事例から学びたい、自分のケースと似た事例を探している。そんな方に向けて、この記事を書きました。

この記事を読むことで、実際の未払いトラブルから成功のヒントと失敗の教訓を学べます。

成功事例5選

成功事例1: 1回の電話で全額回収(債権額50万円)

状況

債権者: フリーランスデザイナーAさん
債務者: 法人クライアント
債権額: 50万円
経過: 支払期日から7日経過

対応

支払期日+7日後に電話
「請求書が届いていないかもしれないので確認させてください」と柔らかく切り出す
経理担当者が「失念していました。申し訳ございません」と謝罪
その場で支払い予定日を確認

結果

電話から3日後に全額入金
取引関係も継続
その後も良好な関係を維持

成功のポイント

この事例の成功理由は、まずタイミングが早かった(7日後)ことです。また、柔らかい言い方で相手を責めなかったこと、電話で直接コミュニケーションを取ったこと、相手の立場を配慮した言い回しを使ったことなどが挙げられます。催促は早く、でも優しくというバランスが大切です。

成功事例2: 分割払いで全額回収(債権額200万円)

状況

債権者: 中小企業B社
債務者: 取引先C社
債権額: 200万円
経過: 支払期日から2ヶ月経過

対応

2回目の催促メールに「支払えない」と返信が来る
電話で理由をヒアリング → 一時的な資金繰り悪化と判明
分割払い(月10万円×20回)を提案
分割払い合意書を作成(期限の利益喪失条項付き)

結果

20ヶ月かけて全額回収
途中で1回遅延があったが、すぐに連絡して回収継続
最終的に取引関係は終了したが、損失ゼロ

成功のポイント

この事例では、相手の事情をヒアリングしたことが功を奏しました。柔軟に分割払いを提案し、分割払い合意書を作成した(法的拘束力を持たせた)ことで、確実な回収につながりました。また、期限の利益喪失条項で保険をかけたことも重要なポイントです。相手の状況を理解しつつ、しっかり法的な備えをすることが大切です。

成功事例3: 内容証明で即座に回収(債権額80万円)

状況

債権者: IT企業D社
債務者: 新規取引先E社
債権額: 80万円
経過: 催促メール3回送るも無視

対応

内容証明郵便を送付
「7日以内に支払わない場合、法的措置を取ります」と明記
配達証明付きで確実に届くようにした

結果

内容証明到着後3日で全額入金
相手から謝罪の電話あり
取引は終了

成功のポイント

内容証明のプレッシャーが効いたことが、この事例の成功要因です。相手が「裁判になるとまずい」と判断し、すぐに支払いました。明確な期限を設定したこと、配達証明で確実に届けたことも重要です。内容証明は、法的手続きの一歩手前という強いメッセージを送れます。

成功事例4: 少額訴訟で勝訴・全額回収(債権額30万円)

状況

債権者: フリーランスライターFさん
債務者: クライアント企業G社
債権額: 30万円
経過: 内容証明を送っても無視

対応

簡易裁判所に少額訴訟を提起
訴状と証拠(契約書、納品メール、請求書)を提出
裁判当日、相手は欠席
即座に勝訴判決

結果

判決後、相手が任意に支払い
強制執行の必要なし
訴訟費用も回収

成功のポイント

証拠がしっかり揃っていたことが最大のポイントです。少額訴訟という手段を知っていたこと、裁判所の手続きを恐れずに実行したことも重要です。また、相手が裁判を軽視して欠席したため、スムーズに勝訴できました。証拠さえあれば、少額訴訟は自分でも十分対応できます。

成功事例5: 連帯保証人から回収(債権額150万円)

状況

債権者: 製造業H社
債務者: 取引先I社
債権額: 150万円
経過: I社が倒産

対応

契約書を確認 → 経営者個人が連帯保証人
経営者個人に請求
経営者が分割払いを申し出
分割払いで合意(月15万円×10回)

結果

10ヶ月で全額回収
倒産にもかかわらず損失ゼロ

成功のポイント

契約書に連帯保証人を付けていたことが、この事例の最大の成功要因です。倒産しても回収できる保険があったおかげで、損失を免れました。経営者個人と柔軟に交渉したことも良い結果につながりました。リスク対策として、連帯保証人の重要性がよくわかる事例です。

失敗事例5選

失敗事例1: 催促が遅れて時効成立(債権額100万円)

状況

債権者: 中小企業J社
債務者: 取引先K社
債権額: 100万円
経過: 支払期日から5年放置

対応

5年後にようやく催促
相手が「時効です」と主張
回収不可能と判明

結果

債権100万円が消滅
完全に損失

失敗の原因

この失敗の原因は、催促を怠ったことに尽きます。時効を知らなかった、社内の債権管理が機能していなかったことも問題でした。

教訓

**時効は5年(または10年)**です。定期的に催促や時効中断手続きを取ること、債権管理表を作成して時効を追跡することが重要です。放置は絶対に避けましょう。

失敗事例2: 証拠不足で訴訟敗訴(債権額50万円)

状況

債権者: フリーランスLさん
債務者: クライアントM社
債権額: 50万円
経過: 契約書なし、メールのやり取りのみ

対応

少額訴訟を提起
証拠としてメールを提出
相手が「契約した覚えはない」と主張
メールだけでは契約の証明不十分と判断され敗訴

結果

訴訟費用だけがかかり、回収できず
完全に損失

失敗の原因

契約書を作成していなかったことが最大の失敗です。証拠が不十分で、メールの内容も曖昧でした。法的には契約書がなくても有効ですが、証拠としては弱いのです。

教訓

必ず契約書を作成することが重要です。メールだけでは不十分な場合があります。金額、業務内容、支払期日を明記した書面を残しましょう。証拠がなければ、裁判でも勝てません。

失敗事例3: 取引継続しながら未払いが増える(債権額300万円)

状況

債権者: 卸売業N社
債務者: 取引先O社
債権額: 累積300万円
経過: 支払い遅延が続くが、取引を継続

対応

「そのうち払ってくれるだろう」と楽観視
新規取引を継続
未払い額がさらに増える

結果

O社が倒産、回収不可能
300万円の完全な損失

失敗の原因

未払いが続いているのに取引を継続したことが致命的な失敗です。与信管理を怠り、警戒心が欠如していました。「そのうち払ってくれるだろう」という楽観的な見通しが、損失を拡大させました。

教訓

未払いが続いたら即座に取引停止することが鉄則です。新規債権を増やさない、与信限度額を設定し超えたら取引停止するなど、厳格な管理が必要です。優しさが仇になることもあります。

失敗事例4: 感情的な催促で関係悪化(債権額20万円)

状況

債権者: 個人事業主Pさん
債務者: クライアントQ社
債権額: 20万円
経過: 支払期日から1ヶ月経過

対応

催促メールで「いい加減にしてください」と感情的な表現
電話で怒鳴る
相手が怒って「払わない」と開き直る

結果

関係が完全に悪化、回収不可能
20万円の損失

失敗の原因

感情的になったことが失敗の原因です。相手を責める言い方をし、プロフェッショナルさを欠いた対応をしてしまいました。怒りは理解できますが、それでは回収できません。

教訓

催促は冷静に、ビジネスライクに行うことが大切です。感情的にならず、事実を淡々と伝えましょう。怒りをぶつけても、お金は返ってきません。

失敗事例5: 弁護士費用が回収額を上回る(債権額5万円)

状況

債権者: 個人事業主Rさん
債務者: クライアントS社
債権額: 5万円
経過: 内容証明を送っても無視

対応

弁護士に相談
着手金10万円を支払う
弁護士が訴訟提起

結果

勝訴して5万円回収
しかし弁護士費用10万円+成功報酬1万円で、トータル赤字
実質6万円の損失

失敗の原因

費用対効果を考えなかったことが失敗です。少額債権に弁護士を使ってしまい、自力回収の可能性を検討しませんでした。回収できても赤字では意味がありません。

教訓

少額債権は自力で回収を検討しましょう。費用対効果を計算し、少額訴訟なら自分でできることを知っておくべきです。専門家に頼むのが常に正解とは限りません。

成功と失敗の分かれ目

分かれ目1: タイミング

成功: 早めに催促(支払期日+3〜7日)
失敗: 放置して時効成立(5年後)

分かれ目2: 証拠

成功: 契約書、請求書、メールを保存
失敗: 証拠不足で訴訟敗訴

分かれ目3: 冷静さ

成功: ビジネスライクに対応
失敗: 感情的になって関係悪化

分かれ目4: 費用対効果

成功: 費用と回収額を天秤にかける
失敗: 費用倒れ

分かれ目5: リスク管理

成功: 連帯保証人、前払い制度で保険
失敗: 後払いで債権増加、倒産で回収不可能

成功のための7つのポイント

実例から学んだ、未払い回収成功のためのポイントをまとめます。

1. 早めに催促(支払期日+3〜7日)

最も重要なのは、タイミングです。支払期日から3〜7日後に連絡しましょう。放置すればするほど回収が困難になり、時効の危険もあります。

2. 証拠を残す(契約書、請求書、メール)

訴訟になった場合、証拠がなければ勝てません。契約書を必ず作成し、メールや書面でやり取りし、納品の証拠を保存しましょう。

3. 冷静に対応(感情的にならない)

感情的になると、回収が困難になります。ビジネスライクに淡々と、事実を伝え、相手を責めないことが大切です。

4. 費用対効果を考える(少額なら自力回収)

回収額より費用が高くては意味がありません。少額債権は自力回収を検討し、弁護士費用を計算し、少額訴訟を活用しましょう。

5. 与信管理を徹底(未払いが続いたら取引停止)

未払いが続いたら、即座に取引停止です。未払いが続くのは危険信号で、新規債権を増やさず、与信限度額を設定することが重要です。

6. 時効に注意(5年以内に手続き)

時効が成立すると、回収不可能です。債権の時効は5年(または10年)なので、定期的に催促し、時効中断手続きを検討しましょう。

7. 専門家に相談(高額案件、複雑な案件は弁護士へ)

高額案件や複雑な案件は、弁護士に相談しましょう。100万円以上の債権、相手が倒産・破産、訴訟が必要なケースなどでは、専門家の力を借りるべきです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 内容証明を送ると相手が怒りませんか?

A. 内容証明は法的な正式手続きです。相手が怒るかどうかより、回収を優先すべきです。

ただし、今後も取引を継続したい場合は、まず電話やメールで柔らかく催促することをおすすめします。

Q2. 少額訴訟は自分でできますか?

A. できます。少額訴訟は、弁護士なしで自分で手続きできます。

簡易裁判所に訴状を提出し、証拠を揃えれば、勝訴できる可能性が高いです。

Q3. 分割払いの合意書はどう作りますか?

A. 以下の内容を明記した書面を作成し、双方が署名・捺印します:

債権額
分割払いの金額と回数
支払期日
期限の利益喪失条項(1回でも遅延したら一括払い)

まとめ

成功事例から学ぶこと

早めの催促
柔らかい言い方
証拠の保存
柔軟な対応(分割払いなど)
連帯保証人の活用

失敗事例から学ぶこと

時効の危険
証拠不足のリスク
感情的な対応の弊害
費用倒れの危険
与信管理の重要性

成功と失敗の分かれ目は、「早さ」「証拠」「冷静さ」「費用対効果」「リスク管理」の5つです。

次のステップ

未払い回収の具体的な方法について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の状況に応じて、弁護士などの専門家にご相談ください。

最終更新: 2025年11月18日